第16期自治政策講座 〈5月13日・横浜〉「これからの自治体政策-持続可能な社会への視点」参加報告

第1講義「地方制度調査会答申と自治の仕組み」
 講師 江藤俊昭さん(山梨学院大学教授)

「住民自治の根幹としての議会」を作りだすための議会のあり方についての話が印象的でした。住民の議会への不信や不満の広がりの原因は、議会が閉塞的で、市の提案の追認機関と化していることだとし、「議会改革」の真の目的は、住民の福祉の向上であり、住民へ寄り添うこと。それができていますか、と問いかけられました。
 「議会は行政の執行機関で取り上げない課題も条例・予算・そして決議という方法で政策化できる。議会は住民の目線を重視し、執行機関の縦割りの組織運営に対して、合議制(多様性)の組織運営を発揮し、さまざまな角度から地域を観察し、提言できる。しかし、そこには議員間の討議が必要となり、さらに住民との意見交換会を開くことで、議決内容の説明責任が生じる。そこから出てくる住民の意見を活用し調査を重ねることではじめて、行政との政策競争ができるはず」と言われます。議会基本条例に議決責任を明記し、議会の閉塞感を突破し、執行機関の緊張感を高め、両機関の政策競争が動き出している会津若松市議会の例を挙げられました。
 数年前、府中市議会も江藤さんを招いて議会改革のお話を伺ったことがありますが、その当時は委員会の発言も公表されておらず、驚き、あきれられました。しかしいまだに府中市議会は議会基本条例もなく、議員間討議の仕組みもなく、住民への議会報告会もできていません。私たちは生活者ネットとして議会報告会を開催していますが、住民の参加が多いとはいえません。住民の関心と共感を得るための、府中市議会としての住民自治をどうすすめていけばいいのか、課題の大きさを実感しました。

 

第2講義「TPPと自治体の課題-グローバル経済と地域再生の道」 の報告はまえだ弘子のホームページをご覧ください。