2013年6月議会を終えて

子宮頸がん予防ワクチン接種の中断を  

 2011年から、中学生女子を対象にした子宮頸がん予防ワクチンの任意接種が始まりましたが、それによる全身の疼痛などの副反応が大きな社会問題となり、接種見直しを求める声が上がりました。

 府中・生活者ネットワークは、5月28日に、市長に「積極的な勧奨の見合わせ、市としての副反応が起きたときの救済措置の検討、相談窓口の開設」を緊急要請し、6月議会の一般質問でも取り上げました。

 

5月28日 市長へ緊急要請書を提出

 

子宮頚がん予防ワクチン接種の有効性 

子宮頸がん予防ワクチンは昨年までに、市内で3174人の女児が接種をしています。今年の3月に予防接種法が改正され、4月からは定期予防接種となり、小学校6年生から高校1年生の年齢にあたる女子を対象に全額公費負担で接種することが義務付けられました。また、市は未接種者へ通知を出すなど、より積極的な勧奨を行なうことになりました。

子宮頚がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)を原因とするもので、ワクチンの接種が有効だといわれてきました。しかしこのワクチンは、がん発症の可能性の高いウイルス15種のうち2種類の型にしか効果がありません。また、HPVに感染してもほとんどの場合ウイルスは自然に排除され、ワクチン接種よりも、がん検診を受けるほうが予防になるとの意見もあります。                                                             

補償がきわめて困難な救済制度  

 副反応の症例には、発熱、疼痛、発赤、ショック症状、失神、ギランバレー症候群などがあります。これまでに2000例に及ぶ報告があり、インフルエンザワクチンに比べて発生率は10倍ともいわれています。副反応が生じた場合には救済制度がありますが、接種との因果関係を「医学的に」立証する義務は被害者側にあるため、補償を受けることは極めて困難で、ほとんどが救済されていません。

 問われる自治体としての責任!  

このワクチンは3回接種することが必要で費用は約5万円です。任意接種時の2年間では、1億2000万円以上の公費負担をしています。このワクチン接種で、今後も副反応で苦しむお子さんがあらわれることを考えると、接種に責任を持つ市は、ワクチンそのものの必要性をしっかりと見極め、安全性が確認されるまでは一時的な中断を考えるべきです。市が独自に今回のワクチン接種の中断を決められるかと質問しましたが、市は独自に判断することはできないとの回答でした。

 その後、厚労省は、副反応被害に対する多方面からの声をうけ、子宮頸がんワクチンの接種の勧奨を一時中止することを決定しました。

 しかし、この決定で、接種を受けるのは個人の判断となり、責任の所在があいまいになってしまいました。市では、国のこの動きを受けて、広報とホームページの内容を、「積極的な勧奨を控える」と変更しましたが、市民は判断に迷ってしまいます。本来は厚労省の副反応被害者への調査結果が明らかになるまでは市民の安全を考え、市は一時中断をすべきです。中断しないのであれば、少なくとも、充分な情報の提供を行ない、救済制度を整備するべきです。

5月17日 東京生活者ネットワークは厚労省に要望書提出