2014年9月議会を終えて
~子どもの貧困対策の充実をもとめて~
昨年の6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が制定され、今年の8月末に「子どもの貧困対策大綱」が示されました。子どもの貧困率(*)が16.3%と過去最悪となり6人に1人が貧困の状態にあると言われています。閣議決定された大綱にはどのような対策がうたわれ、府中市として、どのように対応するのかについて質問しました。
*子どもの貧困率とは:(2014年 厚生労働省「国民生活基礎調査」によ る)等価可処分所得の中央に当たる所得額の半分の額を「貧困ライン」とし(2012年は122万円)、それに満たない世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合
「子どもの貧困対策の推進に関する法律」とは
この法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、教育、就労、生活、経済など、貧困の状態にある子どもへの対策を総合的に推進することを目的としています。
また、大綱には、具体的にスクールソーシャルワーカーの増員や、学習支援、親の就労支援などに関する事項が盛り込まれています。しかし、新規策は乏しく、児童扶養手当の増額、返済がいらない給付型奨学金の創設などについては盛り込まれていません。貧困率削減の数値目標も定められてはいません。
貧困の実態は――
市は子どもの貧困について、経済的困窮だけでなく、子どもの虐待やDV(家庭内の暴力)など、様々な困難が重なっているものと捉えており、大綱の内容等を踏まえ、関係機関等と連携し、貧困の解消に努めるとのことです。今後、市として貧困状態にある子どもへの学習支援を行なう考えも示しました。
しかし、市独自の貧困率を算定しているわけではなく、国の数値を基礎としており、より府中市に即した実態把握は必要です。今、実際に助けが必要な子どもたちがいる中で、健康や日々の生活にも困難を抱える子どもたちへ、積極的な実態調査と新しい支援策をうちだすべきです。
一人ひとりの子どもの権利を守るために
貧困状態にある子どもたちは修学旅行や、高校進学、部活動などを経済的な理由からあきらめてしまうことがあります。しかし望む子には、これらの機会が平等に与えられることが必要です。
そのために、就学援助の申請をしやすくすること、学習支援の対象者の拡大、スクールソーシャルワーカーの増員(現在は3人)とそれぞれの対応時間を増やすことなどを求めました。子どもたちが将来に希望が持てるよう、大綱を実効性のあるものとするために、市全体で支援するための体制づくりを要望しました。